素晴らしい本だと思いました。
というのも、人間の不安・うつ・PTSD・パニック発作などが
起こるメカニズムをわかりやすく紹介しています。
医学的な観点ではなく、人類の生物学的に紹介している。
もっと詳しく言うと、うつになるのは
脳が危険と感じているから、
そのために、体を動かなくして、家から出たくなくなるようにしているという
説明をしている。
この点のなにがいいかというと、
不安・うつ・PTSD・パニック発作で苦しむ人達は、
脳がおかしくなったのではなく、
単に、脳の正常な防御反応だったとわかれば
当人たちは、とても心が救われることになる。
さらに、そのことが症状を軽くさせることに(実際に)つながるからです。
この方はスウェーデンの精神科医ですが、
文章のまとめかた、運び方が
非常に日本語に近くて、読みやすいと感じています。
また、一方的な推論ではなく
ちゃんと理にかなった研究や、説明をしてくれいることも
わかりやすい秘訣でしょう。
この本をおすすめする人は、やはり
精神疾患で悩んでいる人が読むと、とてもいいと感じています。
以下、メモした内容です。
こんなに快適に暮らせるようになったのに
私たちはなぜ気分が落ち込むのか
精神科になってからずっとそのことを考えてきた
私が思うにそれは
自分たち人間も生物であること
そして何によって気分が良くなるのかを忘れてしまったせいだ
つまり私たちは
煙の立ち込める戦場や感染症の流行や
大飢饉といった大惨事が終わった後に
まだ生き残っていた人たちの子孫で
途切れることなく続いてきた鎖の最後の1輪なのだ
進化の 理屈によれば大事なことはただひとつ
生き延びて子どもを設けること
そこに気づいた時
人間を見る目が完全に変わってしまった
私たちの体は生き延びて
子孫を残すために進化したのであって
健康に生きるためではない
脳も同じ理由で進化したのであり
幸福を感じるためではない
脳が最優先するのは生きのびること
名だたる歴史家や思想家たちも
農耕への移行は人類が侵した最大の過ちだと主張している
その理由は 農耕生活は
平均寿命は30歳前後
飢餓の脅威は減ったかもしれないが
今度は殺人が一般的な死因になった
食べ物を貯え リソースを集められるようになったことで
争いの種が増えたのだろう
扁桃体の重要な役割に
近くから入ってくる情報を処理して
周囲の危険に目を光らせておくものがある
視覚
聴覚
味覚
嗅覚
触覚への刺激は 扁桃体に
直接送られるので
脳の他の部分が情報を処理する前に
自分が見て聞いて感じているものを把握している
つまり感情というのは
実はただの任務に過ぎない
生き延びて
遺伝子を残せるように
脳が感情を使って
その人を行動させるのだ
その感情をもとにして脳は
生き延びるための行動を起こさせるための任務でしかないのだ
幸せが永遠でない理由
例えば木に登ってバナナを手に入れた
それで何ヶ月も満足なままだったら
新しい食べ物を探すモチベーションが湧いてこない
そんなことでは 早々に飢え死にしてしまう
つまり 幸福感は消えてしかるべき なのだ
発作は偏頭体から始まると考えられている
また危険の可能性にも反応し
体を闘争か逃走の
体勢に備え
心拍数を上げたり呼吸が速くなる
脳はそんな身体のシグナルを誤解し
本当に危険なことが起きていると 思い込んでしまう
するとますます悪循環に なる
余計にノー脳は危険が起きていると誤解する
地下鉄でパニック発作を起こすのは
機能不全としか思えないだろう
では現在ではなく
パニック発作が 重要な役割を担っていた頃はどうだったか考えてみよう
日常的にそこまで危険な状況だったのだろうか?
答えはイエス
だから地下鉄でパニック発作を起こすようなことになっているのだ
不安に苛まれるのはおかしいことではない
脳は 心配という感情によって
私たちを引きこもらせたり
世界を危険に感じさせたりする
祖先が不安を感じやすくなければ そもそも私たちは存在していない
発作はむしろ脳が正常に機能している証拠だと知れば
たとえ今不安障害を持つ大勢の人たちがいたとしても
安心できたのではないだろうか
私たちは人前で話すことでは
緊張してパニック発作を起こすことがある
しかし 喫煙でパニック発作を起こすことはない
それはなぜか
歴史的に喫煙や
じっと座っている事は
脅威ではなかったからだ
だから恐怖が遺伝子に組み込まれなかった
一方で人前で話すというのは
グループから追い出される危険性
つまり命に危険が及ぶようなことだった そのためである
ptsdが知られるきっかけは
アメリカのベトナム帰還兵で
兵士の1/ 3が ptsdを
発症した
トラウマというのは脳がまだそれが起きている最中など思い込む状態だ
強い感情が湧くというのは
生き延びるために重要な情報というシグナルであり
脳はそういった体験を優先して覚えておこうとする
あえて思い出すことの効能
ptsdで苦しむ人たちに
つらい記憶が蘇るのは
脳のおせっかいと説明しても何の慰みにもならない
しかしこれにはちゃんと利用がある
実は記憶というものは
取り出すために不安定になり
変えられることがわかっている
つまり記憶として 嫌な過去を考えている間に変化していくのだ
記憶というのは 動画のように再生して
同じものを見ると思い込んでいるが
心理学の研究では
記憶はウィキペディアのようなもので
常にアップデートされ変化していくことがわかっている
特に記憶を取り出した際に変化するようだ
なぜ記憶は変化するのか
その理由は
記憶の最も重要な任務は
体験したことを正確に再生することではなく
私たちを生き延びさせること にあるからだ
森に行ってオオカミに襲われて
助かったとしよう
トラウマになるかもしれないが
同じ森に100回行って
オオカミに合わなかったら
101回目に会う可能性はかなり低いと考えていい
つまり不安が減っていくことになるのだ
覚えてないと 生き延びる 可能性が減る
覚えてないともう一度いやな経験
覚えてないと死んでしまうかもしれない経験を
もう1やってしまうことになる
脳としてはそれは困るので
記憶として保持して
何度も繰り返してアップデートして 行くように脳がなっている
その辛い記憶を消す方法は
自分が安全な場所
心が落ち着く環境で
紙に書いたりもしくは
親しい友人やセラピストなどに話していくことが良い
この行為は 記憶を語ることで
森に行っても狼が出てこなかったのと同じ効果がある
強い不安に対して
治療法は 1つしか選んでいけないわけではなく
脳の異なる部分に作用する
例えば運動と薬は
扁桃体の 警戒を解く
一方でセラピーでは
前頭葉のような 高等な部分 を使って
不安が生じた時に
思考で対処する術を学ぶ
過去の研究では フロイトの説が
不安というのは
子供時代の 不快な記憶を封じ込めているせいで起きる
という認識が広まった
しかし その裏付けは得られていない
一方で
不安に襲われやすいかどうかは
半分程度が遺伝子によるものだということが判明している
不安を騙すテクニック
1番は呼吸
ゆっくりした呼吸にすると
脳は 危険はないというシグナルが送られる
2番 言葉にする
言葉にして出すと前頭葉が働く
その前頭葉は 偏頭体の興奮を鎮める
例えばこんな実験がある
怒った顔を見せると扁桃体が興奮するが
被験者に この写真の人は怒っているみたいに見えると
自分の言葉で口に出させると
前頭葉が活発になり
扁桃体を落ち着かせることが分かった
女性なら一生のうちにうつになる確率は4人に1人
男性なら7人に1人
whoの 試算では
世界で2億8000万人がうつを患っていて
不健康の要因第3
よくある誤解は鬱になるのは
セロトニンやドーパミン
ノルアドレナリンといった
脳内の伝達物質が足りないせいだと言うのだが
そんな単純な話ではない
確かにそれらの伝達物質が
降うつ薬によって
刺激することができるし
抗うつ薬は多くの人に効果がある
しかし脳がたった
3つの材料でできていて
その分量が狂っているというイメージは
うつが如何に複雑なものかという事実を
反映していない
実際には脳内のいくつもの部分や
システムが影響を受け
それが打つという結果につながっていくのだ
つまり脳の中では
複雑なことが起きていて
人によってその内容は違う
引き起こす要因は みな同じで
ストレスが長期間続いた場合
特に自分では制御できないと感じるストレス
またストレスだけではなく鬱への脆弱性(もろさ)は遺伝子によって決められている
遺伝子情報が解明されたことは革命的だった
多数の病気に
新しい治療法の 可能性が開かれたのは確かだ
ただし1つだけ例外がある
それは精神医学だ
中でも うつ
研究者者たちは鬱を引き起こす遺伝子を見つけられると期待していた
しかしそんな遺伝子は存在しなかった
双極性障害の遺伝子や
統合失調症の遺伝子
不安障害の遺伝子というものもなかった
実際には何100
いや何千という遺伝子がそれぞれ少しずつ
鬱になるリスクに寄与していることが判明したのだ
進化には途方もない時間がかかるので
私たちの体と脳は、今でも自分は狩猟採集民族だと信じている
種に大きな変化が生じるには、何万年
何十万年とかかるもので人間も同様
そもそも人間は幸せになるようにできていない
理由は、生き延びることを優先してきた民族の子孫だから
側頭葉には島皮質という部分が存在する
島皮質は中央駅のような存在で、
体から心拍数、血圧、血糖値、呼吸数など様々な情報を受け取っている
近くからも情報が送られる。
つまり島皮質で私たちの内と、外の世界が溶け合う
そこで感情が生まれる
つまり感情というのは、自分の周囲で置きていることに反応してほとばしるのではなく
脳が私たちの内と外の世界で起きていることを融合して作り出す
知性はオートマ化されている
目からは、1秒間に少なくとも1000万個もの情報を脳に送っている
他にも情報は、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、触覚からも有る
それに加えて、全身の各器官からも情報が集まる
しかし、人間は一度に一つのことしか集中できないようになっている
そこで、脳は自分が知らない間にたいていの仕事を勝手にやって、
そのまとめを「感情」という形で提示してくる
孤独が深刻になると タバコを1日1箱吸うのに等しい 健康の危険にさらされる状態である
友人や家族がいないと病気になる危険性が増してしまう
孤独を感じるならあなたは孤独
孤独だと感じないならあなたは孤独ではない
孤独のリスクが高まるには長い時間がかかる
何か月
何年という時間
一時的に孤独になることは危険ではない
孤独がうつのリスクを高める
著者によれば
鬱の人が孤独を感じている確率は10倍だった
精神科医として働き始めての頃に
多くの患者が あまり人と会わない生活をしていてに驚いた
反対にうつの人が あるグループに所属すると 鬱が回復する確率が上がる
ロンドンの研究では 50歳以上のうつの人のうち
20%が 孤独が原因でうつになったことが判明している
ある研究で 孤独な人が死亡するリスクは倍近くも高かった
では孤独な人は不健康な生活をしているのか
運動した方がいいとか
ジャンクフードは減らした方がいいと言ってくれる人がいないのかもしれない
研究者たちはそこで運動
喫煙
食生活という要素を省いて
再計算したそれでも孤独は
寿命を縮める要因として残った
つまり孤独自体が危険だということが分かったのだ
孤独でいると副交感神経が活発になるだろうと思いがち
心を落ち着けられる時間があるし
戦ったり する相手もいない
しかし不思議なことに全く逆なのだ
孤独は交感神経を活発にする
長期的な孤独が 交感神経優位にさせるのは
一見驚くかもしれない
ただ1つの理由に孤独な時は
周りや他人に脅かされていると 感じてしまうことがわかっている
また 私たちの祖先は 一緒に 助け合って生き延びてきた
集団でいることが生存率を高めた
脳はつまり集団に属すると幸福感という報酬を 与えてくれる
集団でいれば自分の命を守れる可能性が高いから
そう考えると なぜ孤独のほうが 交感神経が用意するか分かりやすくなるだろう
1人でいると 脳は誰にも助けてもらえない状態だと解釈し
危険に対して警戒しておかなくてはと考える
すると身体は軽度ではあるが長期的なストレスを抱えたままの状態 になる
さらに孤独でいると睡眠の質が悪くなる
それはなぜか
ここでも人類の歴史を振り返ると 理由が分かる
それは1人で寝ている人は
危険が近づいても誰にも教えてもらえない
だから深く眠りすぎずすぐ 目が覚めることが重要だったのだ
ある研究では 短い通話でも孤独感を減らす事が分かった
心理学の研究の1つに
浅い付き合いが多いよりも
親しい相手が数人にいるほうが大事という ことを示したものがある
皮膚には軽く触れられた時に反応する受容体が存在する
さらに 肌に触れているものが秒速2. 5cmの速さで 動くときに
最大限に反応する
この速度は 愛撫される時の速さ
その受容体が反応すると
エンドルフィンが放出される
エンドルフィンには 鎮痛作用と
強い幸福感を与えてくれる
またこれらは
類人猿のグルーミングにも似ている
コメディ映画を見た後は
エンドルフィンが 増えていた
また他の人と踊っても エンドルフィンは出る
歌やスポーツもそう
グループでやるとさらに増える
耳たぶの後ろ1cmほどのところからまっすぐ脳の奥に入っていくと
医学用語で 縫線核と呼ばれる 部分がある
セロトニンの大部分がそこで生産される
アメリカの大学で行われた調査によれば
リーダー的役割を担う学生は
新入生よりもセロトニンレベルが高かった
動物の場合もヒエラルキーにおける
地位の解釈に影響するが
人間でもヒエラルキーにおける地位の解釈に影響する
セロトニンはヒエラルキーの地位だけではなく
私たちの情動にも 役割を果たす
ヒエラルキーにおける地位を確認するのをやめられないのは
つまりsnsを見ることをやめられないのは
脳が孤独を避けたいためだ
集団から追い出されないように
脳は常に自分はこのグループに馴染めているだろうか
こんな自分で大丈夫だろうか
この集団に受け入れてもらえるくらい自分には価値があるかと
問い続けているだから
落ち込むのがわかっていてもついついsnsを見てしまう傾向にある
私たちを行動させるものは何かというと
それは感情だ
精神状態が悪くなると私たちは外に出なくなる
家にこもり頭から布団をかぶってしまう
落ち込むという感情は
脳が私たちを感染から遠ざけているか
感染から治癒するためにエネルギーを節約しようとしている
そう考える研究者もいる
脳は今でもまだサバンナにいると思い込んでいるから
ストレスを感じると
感染リスクが高まったと解釈する
その結果として長期的なストレスを受け続けると
ケガや感染の脅威にさらされていると勘違いしてしまう
というのも 狩猟採集民族の時では
ストレスを受ける状態というのは
怪我をした時や
感染の脅威にさらされている時だったからだ
そのような脅威に対抗するために脳は家にこもりたくなるような感情を作り
精神的に立ち止まらせようとするつまりうつと呼ぶ状態にする
ある実験でサイトカインを注入されたマウスは
引きこもりうつと思われるような行動をとった
人間でも実験してみると同じ結果が得られた
サイトカイン注入後は
体がだるくなり気分が落ち込んだのだ
サイトカインとは炎症の反応で出てくる物質
つまり炎症が脳に影響していると考えられる
他にも c型肝炎の患者の約1/ 3が鬱になったというデータもある
これも炎症が関係している
脳脊髄液の 炎症性サイトカインの数値 があるが
うつの人はその数値が高いことが判明した
うつと免疫型の関連を示す 最後の重要なポイントは遺伝子にあった
大規模な研究によりうつに関係する44の遺伝子が特定されている
そのうち複数の遺伝子が
免疫系にも 脳にも影響する2つの役割があり
つまりうつのリスクを高めたり免疫系を起動させるという 遺伝子がある
炎症は多くの病気において
中心的な要因なのでなるべく起きてほしくないと思うだろ
しかしそれは大きなまちがいで
私たちは炎症なくしては生きられない
とはいえ いいことも度が過ぎるとよくないのは世のつねだ
炎症が長期間続くと問題が生じる
心筋梗塞や脳卒中
リウマチ
糖尿病
パーキンソン病
アルツハイマー型認知症などは
長く続いた炎症が主な原因になる ほんの1例だ
また現代では炎症を起こす 要因が昔とは変わってきた
昔は最近やウイルスによる感染や
怪我が炎症のもとだったが
現代では 長いことじっと座っていると筋肉や脂肪組織の炎症につながることが判明しているし
長期的なストレスも
全身性の炎症の度合いを高めるまた
睡眠不足
環境汚染物質にも同じ作用がある
加工食品は胃腸の炎症につながるし
肥満も死亡組織の炎症につながり
喫煙は肺や起動の炎症を引き起こす
歴史的な炎症の細菌やウイルスけがは ほとんどは一過性
しかし現代の要因 は長く続く傾向がある
現代における最大の炎症要因 はストレスと肥満
体の最も重要なストレスホルモン
コルチゾールにはエネルギーを動員する役割がある
恐怖を感じたら筋肉にエネルギーが送られる
しかし危険が過ぎ去ると
コルチゾールには別の役割がある
体の炎症を鎮めるというものだ
つまりコルチゾールは炎症のスイッチを切るタイミングを持っている
長期間ストレスに晒されていると
コルチゾールのレベルが高いまま暮らすことになり
ついには体がそのレベルに慣れてしまう
何度もオオカミが来たぞと叫ぶ狼少年と同じで
最後には誰にも気にしてもらえなくなるのだ
その結果
体はコルチゾールに反応するのを止め
炎症を沈める能力を失ってしまう
すると 体で起こった小さな炎症は
くすぶったままになり全身の炎症の度合いが上がってしまう
それが長期的なストレスによって起きてしまうのだ
長期的なストレス以外には
肥満が体内で炎症を起こす最大の要因だ
死亡組織は単なるエネルギー備蓄ではなく
サイトキシンが全身にシグナルを送って免疫系を起動する
自分の体の一部を脅威と見なすなんて
体はなぜ自分自身のエネルギー備蓄に対して
免疫系を動員するのだろうか
確実な答えは誰にもわからないが
可能性としては
肥満が歴史的には存在しなかったからかもしれない
お腹周りの脂肪を見知らぬものと認識し
炎症を起こすことで 侵入者つまり
余分な脂肪に戦いを挑むのだ
うつの人は全員体内で炎症が起きているのだろうか
そういうわけではない
炎症は鬱を引き起こす重要な要因の1つだが
要因は炎症だけではない
うつ全体の1/ 3程度が炎症に起因しているとされる
数週間 定期的に運動するとHPA系 の活動は落ち着いていく
するとそれが定期的に続き
その状態が続くようになる
中でも重要な2つのブレーキが 海馬と 前頭葉だ
海馬と前頭葉はどちらも運動によって強化される
海馬は運動によって物理的に大きくなるし
前頭葉は細かい血管ができて
酸素の供給や老廃物の除去の能率が上がる
運動はドーパミン
セロトニン
ノルアドレナリンのレベルを上げ
BDNF のレベルも上げる
長期的には炎症を抑える効果もある
なぜかというと運動することによって
エネルギーが消費され
そのエネルギーの一部は免疫系から奪われてくるので
免疫系の活動が抑えられる
それはよくないように思うかもしれないが
慢性的な炎症というのは
大抵 免疫系が過剰に活動しているせいなのでそれでいいのだ
活動が活発すぎるの運動が落ち着かせてくれるのだから
運動をすると
体の各機関や組織が強化される
血圧
血糖値
コレステロールが安定し
肺の酸素供給能力も向上し
心臓や肝臓が強化される
そのおかげで脳は今までよりも
良いシグナルが届いた上で
感情を作ることになる
因みに感情は 外側の条件だけでなく
体の内側からもシグナルを受け取った上で
感情を作っている そうすると
不快な感情よりも心地よい感情が作られる可能性が高くなる
だからこそ運動は鬱を予防するためにできる最も重要なことのひとつだ
どの研究でも
どのメタ分析でも
運動をする人は不安が少ないことがわかった
重要なのは内容ではなく
とにかく何か運動をすることだ
パニック発作のある人は
発作が減り 発作を起こしても
以前ほど激しくなくなった
不安障害に苦しむ人は
以前ほど脅威を感じなくなった
そしてptsdの人には
以前ほど激しいフラッシュバックが起きなくなり
警戒心も前ほど強くならなくなった
しかし 全員が運動によって同じ効果を得られるわけではない個人差がある
不安を予防するためには大事なことがある
それは心拍数を上げること
心拍数を上げることで
体が次第に心拍数が上がるのは大惨事が起きようとしている兆候ではないことを学ぶ
そうすればコルチゾールのレベルが下がり
エンドルフィンによる心地よい気分が訪れる
HPA系の役割というのは
脅威に晒されたとき
あるいは脳が恐ろしいことが起きそうだと感じたときに
エネルギーを 筋肉へ動員することだ
では何100万年もの間私たちにとって
一番脅威だったものは何だろうか
それは 肉食動物や
事故
感染症に対してだろう
そうやって祖先が生き残ってきたわけなので
体のコンシディションがいい人たちのほうが
肉食動物から逃げ切り
感染者から回復できた可能性が高い
そう言った人たちのHPA系は
危険の可能性に出くわすたびにギアを最大限入れる必要がなかった
脅威に対してパニックにならなくてもよかった
つまり私たちも 体のコンディションが 高いと
体のHPA系の 活動が抑えられるために
不安は運動で抑えることができると考えられる
また 運動の後は
落ち着いた気分が訪れ
心配が減り自分の能力に自信が増す
この自信がちょうど
その時のあなたを襲っている心配を追い払ってくれる
つまり自己効力感が高まるということ
脳と体は密接に連携している
脳は免疫系からも情報を受け取り
体の外だけでなく
内側のシグナル両方を元にして感情を作っている
なので感情やうつや不安というのは
脳にもっと頑張れと指示したり
薬でバランスをとるだけでは改善しない
体内の状態も改善しないと治りにくいのだ
統合失調症は高頻度で
遺伝性の病気であり
私たちの遺伝子はサバンナの時代から驚くほどわずかしか 変化していない
同じことが 最重度の双極性障害の患者にも言える
こちらも高頻度で遺伝的な精神障害である
現在でも狩猟採集民族として暮らしている人を 調査した
人類科学者エドワードシェフェリン
彼が調べた結果 パプアニューギニアのカロリ族と10年暮らした
そこでの生活は極めて過酷だが
2000年にインタビューを行っても
うつの人は極かで基本的には軽い症状だった
彼ら狩猟採集民族の 一体何が
うつから守ってくれているか
私は運動と
仲間と1緒に過ごす事だと思う
彼らは1日に15, 000歩から18, 000歩
歩いている
加えて社会的な絆で強く結ばれ 互いに近くで暮らしている
その2つの要素が彼らを不安やうつから守っている
環境汚染にもさらされないし
私たちほど加工食品を食べていない
おまけに 労働時間も短く
格差の少ない社会に暮らしている
ゆえに鬱が少ないと考えられる
ある実験で 被験者たちに アルコール依存症になるリスクの高い遺伝子を持っている
と伝えた
それは事実ではなく
どうなるかを調べた実験だった
嘘の情報を与えられた被験者たちはその後
酒を飲まないようにするのが前より難しくなったという
アルコール依存を避けられない宿命として考え始めた
つまり宿命本能が発動した
私たちの脳 自体は
ここ1万年ほど大きな変化はしていない
だから私たちは
タバコや車よりも
蛇やクモを怖がるし
世界は不変だと思い込んでいる
人間が他の動物と一線を画す特徴を1つだけ選ぶなら
物語を語る能力を挙げたいと思う
脳は自分が体験している出来事に
常に説明を探
しつじつまのあう物語を作り出している
中でも自分の人生の
つじつまが合うような物語を
躍起になって探す
そうやって人生を理解し予測しようとしているのだ
2021年ある調査で
高齢のイギリス人に健康に関する質問をしたところ
健康状態は良好だと答えた
去年コロナでたくさんの人が亡くなったのに なぜ
このような肯定的に 答えたのか
考えられるとしたら
毎日のように病気や
苦難のニュースを聞かされるうちに
良い健康状態の基準が変わった
集中治療室や
遺体安置所があふれ返っているというニュースが日々報道される中
腰痛や頭痛や
膝の痛みといった症状を
大した問題だと思わなくなった
脳が自分の経験と照らし合わせる対象が変化し
それによって自分の健康に対する見方も変わったのだ
つまり私たちは 起きていることを
客観的に分析しているわけではなく
自分の期待と経験を比較するよう 神経生物学的に厳密にプログラミングされているのだ
